資金調達は、企業の成長を自己資金だけでまかなうよりも速いペースで実現させるための有効な戦略であると考えています。しかし、正しい方策をとらなければ会社を倒産させる直接トリガーになるとも言えます。
融資を検討する際は様々な理由があります。が、その多くが間違っていると考えています。私はかつて正しい知識を持っていなかったがために数多くの失敗をしてきました。
- 事務所拡大の際の内装費
- 金型
- 商品リニューアル
- 在庫確保
- 倉庫構築
- 新規事業
いずれも、会社の将来を思い、間違いのない選択だと思い実行してきました。しかし結果的には財務状況を苦しくしていきました。
新規事業以外は、いずれも新たな売上を直接うまないものです。新たな売上を直接うまないのであれば、残るものは「売上をうまない何か」と「返済」しかありません。
では新たな売上を直接作り出す新規事業の何がいけないのか。それは新規事業の成功確率が絶対ではないからです。その新規事業が成功し、返済(金利+返済額)以上の利益が出せればいいのですが成功ですが、新規事業が失敗すれば、それこそ何もうまずに返済だけが残ります。
キャッシュフロー改善のための融資
キャッシュ・フロー改善のための融資は蟻地獄でしかありません。そもそもの経営判断が間違っています。
- ビジネスモデル見直し
- 販管費のリストラ
- 取引先との契約見直し
などが必要です。これらを改善せずに資金調達をしても、結果は悪いことにしかなりません。
正しい融資実行理由は1つしかない
私は、正しい融資の実行理由は1つしかないと思っています。それは
事業にレバレッジをかけるとき
だと考えています。
新規事業でも既存事業でも、より予算をかけることでさらなる売上や収益が間違いなく達成できる状態のときに実施するべきだと考えています。
さらなる売上や収益が達成できる状態とは、更に顧客を増大できる状態であると考えています。そのために広告費、在庫確保、外注確保などの予算を増大します。事前に予算を計算し収益性を圧迫せずに拡大できるときにのみ、融資を実行することで失敗を免れることができると考えています。
新規事業の初期の立ち上げは自己資本で
新規事業の立ち上げは上記理由により、はじめの立ち上げは自己資本で実施するべきです。初期の小さなテストで実際にどのような数字が出てくるかを見極め、レバレッジを掛ける余地がある場合にのみ融資をします。
自己資本における立ち上げでの失敗となれば、その後の返済に苦しむこともなく、ただの失敗として終わらせることができます。
返済期間は短く
融資の返済は、長く期間を設定することで返済額が小さくなるため、できるだけ長く返済期間を設定したいと考えがちです。手元キャッシュを太くするために融資をするのではあればそれで問題ないかと思います。
しかし、メーカーにおける企画で5年以上成長し続ける事業は、立ち上げに成功する確率よりも遥かに厳しいのではないでしょうか。
成長が続いているように見える企業でも、負債が大きくなりすぎたために仕方がなくIPOを選ぶ企業も多く存在するのも事実です。私は、その原因は返済期間が長すぎるためであると考えています。
例えばレバレッジのための融資返済期間を2年で設定するとします。その場合は毎月の返済金額もかなり大きくなってきます。しかし、返済の初月から返済以上の利益を取れる確信があれば何も怖いことはありません。2年で完済し、企画が順調に成長していれば、確実に会社の太い事業となっていることは間違いありません。
前期利益以下の返済
確信をもってのレバレッジであっても失敗する可能性があります。その際は、既存事業の利益より返済をする必要があります。その場合は、返済金額が既存事業でまかなえない場合は、経営を圧迫します。
そのため、調達金額は返済金額が前期利益よりも少ない状態である必要があります。